ソニー、自己託送で全量自家消費

ソニーが自社敷地外の太陽光発電設備から全量自家消費する自己託送を始める。太陽光発電所建設のFDと提携し、デジタルグリッドの電力取引プラットフォームを活用する。オフサイト自己託送で採算性を確保し、電力代の削減に繋げる。(本誌・川副暁優)

 ソニー(吉田憲一朗会長兼社長)は2021年2月9日、知多大動物病院(愛知県半田市、工藤秀男院長)が保有する愛知県東海市の牛舎に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を遠く離れたグループ会社の施設で自家消費すると発表した。
 計画では、牛舎の屋根にハンファQセルズ製の太陽光パネルを出力約393kW分載せ、出力約210kWのパワーコンディショナとともに設備を構成。発電した環境価値つきの再生可能エネルギー電力を中部電力の送配電網を介して愛知県幸田町のソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ幸田サイトへ全量送電する。ソニーは、自己託送に関して20年11月にも中部電力パワーグリッドから概ね合意を取りつけ、21年4月より設備を稼働させる予定だ。
 一連の取り組みは、ソニーが太陽光発電所建設のFD(愛知県刈谷市、鈴木政司社長)と20年12月末に結んだ15年に亘るエネルギーサービス契約によって成立している。FDは、自社負担で太陽光発電設備を建設し、15年に亘るO&M(保守・管理)や電力供給を

つつ、電力需給管理を技術ベンチャーのデジタルグリッド(東京都千代田区、豊田祐介社長)に委託。デジタルグリッドは、自社の電力取引プラットフォームを活用して発電量の予測やOCCTO(電力広域的運営推進機関)への計画値の提出などを代行する。
 ソニーHQ総務部EHSグループの井上哲シニアマネジャーは、「電力小売りを介さずに発電所から直接再エネを調達する自己託送は、コスト効率的な再エネ調達法の一つだ。今回のオフサイト型も再エネ比率の向上と電力代の削減に繋がる有効な手法である」と語る。
 ソニーは18年に事業用電力を100%再エネで賄うことを目指す企業連合、『RE100』に加盟し、40年までの再エネ100%を目標に掲げる。それだけに、かねてより有効な再エネの調達法を模索し、20年2月には静岡県焼津市のソニー・ミュージックソリューションズの倉庫屋根に出力約1.7MWに及ぶ太陽光パネルを設置、余剰の再エネ電力を愛知県吉田町の自社工場に送電するオンサイト型の自己託送を実現した。
 FDの鈴木社長は、「補助金を一切活用せず事業に取り組む各社がそれぞれ採算性を確保できた点が特長だ。3社のみならず、太陽光パネルの設置場所を提供してくれた動物病院も、賃料収入が得られるうえ、パネルによる牛舎の遮熱効果が見込める」と利点を強調する。
 デジタルグリッドの豊田社長は、「今回の取り組みは汎用性が高い。中小企業も含め、多くの企業が活用できる。これを機に再エネの利用が広がればと思う」と期待を込めた。

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